「犬風邪」「猫風邪」は俗称
犬や猫も風邪のような症状を示すことがあります。鼻を詰まらせ、咳やくしゃみをしたり食欲が落ちたり……。そんなときに動物病院に連れて行って、獣医師さんに「犬(猫)風邪ですね」と言われたことはありませんか?
実はこの犬風邪・猫風邪というのは俗称でして、正式名称は犬であれば「ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)」、猫であれば「猫の上部気道感染症」といいます。耳慣れない名前なので、獣医師さんがイメージしやすいように「風邪みたいなものです」と言っているわけですね。
症状・感染経路
症状は人間の風邪に近いものがあります。
ケンネルコフ:咳・発熱・食欲低下など
猫の上部気道感染症:くしゃみ・鼻水・発熱・食欲低下など
いずれの病気もさまざまなウイルスや細菌が犬・猫の気道に感染することで発症します。くしゃみや鼻水などでウイルス・細菌が周囲に広がり、複数飼いをしている場合にはあっという間に全員感染、ということもあります。
予防法
季節の変わり目に罹患することが多いようです。特に夏から秋、秋から冬の気温が下がる時期は注意が必要。急激な気温の変化に体がついていけずに、抵抗力が落ちてしまうわけですね。
室内の気温を一定に保つことや、加湿器を使って湿度を維持することが大切です。衛生管理にも気を配りましょう。これらは人間の風邪の予防にもなります。一石二鳥ですね。
ちなみに、犬風邪・猫風邪の主な原因となるウイルスに効果的な混合ワクチンを使うことで、ある程度の予防ができます。ただ、原因ウイルスは多くの種類があり、すべてに効くワクチンはありませんので、あくまでも「可能性を下げる」だけです。人間のインフルエンザワクチンと同じです。
対処法
不幸にも感染してしまった場合、「風邪みたいなものなら大丈夫だろう」と油断してはいけません。重症化すると肺炎を併発し、命に関わります。また、似たような症状のまったく違う病気の可能性もあります。
「ふだんと様子が違うな」と思ったらすぐに動物病院に連れて行きましょう。素人判断は危険です。特に体が小さく免疫力が十分ではない子犬・子猫はあっという間に重症化してしまうことがあります。
まとめ
犬や猫に限らず、われわれ人間にとっても病気というものは「かかってしまったらどうしよう」ではなく「かからないためにはどうすればいいか」を考えることが大事です。日ごろから飼育環境や衛生に気を配り、ペットも人間も快適に暮らせる環境を作っていきましょう。